山梨県人権擁護委員連合会ホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
私は山梨県人権擁護委員連合会の会長を務めております田中正志と申します。
山梨県人権擁護委員連合会は、法務大臣から委嘱を受けた219人の人権擁護委員で構成されています。
甲府地方法務局と手を携えながら、人間にとって最も大切な基本的人権を守るための『啓発』や
『相談』、『救済』などに関わるいろいろな活動を展開しています。
山梨県には甲府、都留、峡南の3つの協議会があり、それぞれ創意工夫した独自の活動をしています。
このホームページは、
・人権相談の種類や内容、その窓口を一般の方に広く周知すること
・人権擁護委員の活動及び連合会の組織について一般の方に周知すること
・人権擁護委員に対し、県連、各協議会、各グループ単位等の活動予定や活動報告を提供し、相互にその情報を共有すること
・上記項目を達成することにより、人権相談活動、人権啓発活動の円滑化及び活性化を図ること
などを目的として、人権擁護に関わるさまざまな情報をお届けします。
人権とは、単に人間であるということに基づく普遍的な権利であり、人間の生存にとって欠くことのできない権利および自由とされています。
人権の歴史は、人々が、国家や支配者からの圧制や不正に対して抵抗し、自分たちの尊厳や自由を主張した歴史でもあります。
自分の考えたことを自由に発表すること、自分の選んだ宗教を信じること、どんなことでも自由に学ぶこと、仕事を選ぶことなど、これらはすべて、私たちが持っている「人権」です。
これらの人権は憲法で保障され、今の日本では、当然だと思われていることかもしれません。しかし、これらは、当然に認められていたわけではありません。人権が認められたのは、人権がないために苦しんできた多くの人々の行動と命をかけた努力の結果なのです。
以下に、人権思想の発展に関係する歴史を紹介します。
1215年:イギリスで国王ジョンが封建貴族たちの要求に屈して マグナ・カルタ(大憲章)を発布しました。これは国王の権力を制限し、貴族や市民の一定の権利を認めた最初の文書とされます。
人権の歴史には、ジョン・ロック、ジャン=ジャック・ルソー、モンテスキューなどの思想家や運動が大きな影響を与えました。17世紀から18世紀にかけて、自然権や社会契約という考え方が広まり、絶対王政に対する抵抗や革命の理論的な根拠となりました。人権思想家たちは、人間の本来的な権利や国家の正当性や限界について理論化し、この思想は、アメリカ独立宣言(1776年)やフランス人権宣言(1789年)などにも影響を与えました。
そして、1948年に国際連合で 世界人権宣言が採択されました。この宣言では、すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利とについて平等であることや、信教・表現・結社・教育などさまざま権利が認められています。
人権擁護活動は、人権思想を広め、人権侵害を予防し、人権侵害による被害を救済することです。いつも人権の大切を訴え続け、継続して活動することが必要です。
人権擁護活動を継続しなければいけない理由は、以下のようなものが考えられます。
・人権の歴史からも分かるとおり、もともと、人権という考えはなかったのです。「人権」は人類が発明した最も崇高で、すばらしい考えと言えるものです。長い人類の歴史の中で、多くの人の犠牲のもとでようやく獲得できた権利です。
人権が、認められていない場合は当然ですが、認められているとしても、人権は非常にもろく、油断するとすぐに侵害され、奪われてしまいかねないものなのです。
・世界にはまだ多くの人権侵害が存在しており、それらに対して声を上げたり、支援したりする必要があります。
・私たちは、いろいろな製品やサービスを利用していますが、それらが生産される現地の労働者や環境に対する配慮が欠けている場合があります。その場合、私たちは知らず知らずのうちに人権侵害に加担している可能性があります。私たちは、製品やサービスに対し、責任あるサプライチェーン等における人権尊重を求めることが必要となってきます。
・人権は時代や社会の変化に応じて新たな課題(例えば、インターネットやSNSの普及によるオンライン上でのいじめや誹謗中傷などの問題)が生まれるものであり、それらに対応するためには常に学び続ける必要があります。
私たち人権擁護委員は、人権の花運動、中学生の人権作文コンテスト、人権教室を中心に、たくさんの人権啓発活動をしています。また人権相談や人権救済に関わる活動をしています。
主な啓発活動の内容を紹介します。
「人権の花」運動の目的は、子どもたちに花の苗や種などをプレゼントし、子どもたちが協力して花を育てることによって、生命の尊さを実感し、豊かな心を育みやさしさと思いやりの心を培っていくことを目的としています。
子どもたちに花の苗を渡すだけでなく、人権についての話、「種をまこう」の詩の紹介、人KENまもるくんやあゆみちゃん(キャラクター)との触れ合いをとり入れるなど、各協議会・グループで工夫しています。また、風船に子どもたちのメッセージと花の種をつけて飛ばすバルーンリリースは、児童も先生も人権擁護委員も一緒に盛り上がり、風船が上がる瞬間はワーという歓声が上がる素晴らしいイベントです。
中学生の人権作文コンテストは、次代を担う中学生の皆さんが、日常の家庭生活や学校生活等の中で得た体験に基づく作文を書くことを通して、人権尊重の大切さや基本的人権についての理解を深め、豊かな人権感覚を身につけることを目的としています。12月の人権週間の中で、表彰式・優秀作品の朗読が行われます。
人権教室は、保育園・幼稚園、小学校、中学校、高校などで、人権の大切さを伝えるための教室です。
人権がいかに大切であるかということです。
現在、世界が各国を評価する基準・キーワードは、「環境」と「人権」だと思います。いまや環境を無視したり、軽視した行動はとれないということです。
そして、環境問題は人権問題ともいわれています。環境破壊がその被害を受ける人たちの生きる権利、人権を侵害するという考えです。
環境保全に熱心でない国は、人類の、世界の嫌われ者となり、非難されます。
そして、人権が守られない国は、政治的に非難され、経済制裁を受け、人権を守れと日々言われ続けます。
人権という言葉が、ニュースで流れない日はないと言ってもいいくらいです。
人権作文の中でよく出てくる言葉が、「人権は、人が生まれながらに持っている当然の権利である。」、しかし、「国や地域、人種、男女等いろいろな差別や不平等が生じている」というものです。
なぜ、誰もが生まれながらに持っている人権なのに、差別や不平等などがあるのでしょうか。
人権の歴史からも分かるとおり、もともと、人権という考えはなかったのです。
歴史的に、人権が成文化されたのは1215年のマグナ・カルタであり、さらに、「生まれながらにして当然に人間としての権利を有する」という意味で国法上に初めて確認されたのは、18世紀になります。
私たちが享受している人権は、長い人類の歴史の中で、多くの人の犠牲のもとでようやく獲得できた権利です。
今、日本で生活している私たちのほとんどは、生まれた時から人権が保障されて、生活してきました。人権を獲得するために戦うというようなことはなかったのです。
しかし、世界の中には、今まさに人権を獲得するために戦っている人達がいます。
人権が、認められているとしても、この人権は非常にもろく、油断するとすぐに侵害され、奪われてしまいかねないものです。
それはもともと、人権というものは考えられていなかった歴史が長く、ようやく認められたものだからです。人権を奪われないためには、常に、人権を守る活動が必要です。
私たち人権擁護委員は、「人権擁護委員自ら、日々研鑽を重ね、人権感覚を更に磨き、それぞれの地域での活動のみならず他地域とも交流連帯して、より大きな人権思想の普及高揚に努めます。」と総会で決議しています。
ハンセン病患者の隔離、優生保護法に基づく強制手術、LGBTの存在、宗教2世の問題、女性の活躍など、社会で問題になったものの、なっているものもたくさんあります
人権という、人類が長い歴史の中で勝ち得た崇高な権利を再認識して、これを守るべく、私たちに与えられた立場と職務を確認し直すとともに、人権感覚を磨き、人権が守られる社会を維持できるよう、委員全員が一丸となって力を合わせ、頑張っています。
私たち人権擁護委員に対するご理解とその活動に対するご支援・ご協力をお願いします。